松本清張さんが『Dの複合』を執筆した当時の記録

木津温泉丹後の湯宿ゑびすやです。松本清張さんが『Dの複合』を執筆する際に滞在した大正館。当館をご利用下さるお客様の中に『大正館の見学』を目的としたお客様もおられます。

先代から伺った松本清張さんが宿泊された当時の記録を一部ご紹介させて頂きます。

松本清張さんがDの複合を執筆した当時の記録

朝日新聞社の社員として予約を承る。インターネットがない当時は松本清張さんの顔が分からず、宿泊した数日後にお付きの方とのやり取りで松本清張氏だと分かったそうです。

松本清張さんが宿泊していることは、当館で働く数名にしか知らさず、執筆活動に集中できるよう尽していたそうです。

約2ヶ月半の滞在中、松本清張さんは丹後の歴史を調べる為によく外出をしていたそうです。『羽衣伝説』や『浦島伝説』など、丹後の歴史に詳しく、小説のモチーフにもされています。

出かける際は、丹後ちりめんに包まれたお弁当を持って出掛けていたそうです。

ホタルが舞う季節に大正館に滞在。執筆された『Dの複合』には大正館や当館の温泉、周辺の神社など、数多くモチーフとされています。

・竜宮城のような大正館の入り口（玄関）・・・『浦島館』
・当館の周辺にある踏切・・・『日本で1番短い鉄橋』
・部屋から見える提灯や松明のある神社・・・『殺人事件山狩りの灯り』

当時、京都府で唯一の温泉として知られていた木津温泉。現在も宿泊のお客様がご利用されている源泉掛け流しの温泉を好んで利用されていたそうです。

大正館にある現在の貸切風呂は、木津温泉の源泉に最も近い位置にあり、配管や空気に触れる機会が少ないことから良質な泉質を保つことができます。執筆の疲れを癒す温泉を楽しまれていたと思います。

大正館は当時の状態を維持する為に、日々丁寧に管理しています。最近であれば、映画『湯道』のロケ地として大正館をご利用いただいています。

松本清張氏は、大正館で約2ヶ月半の滞在されていました。当時、松本清張さんのサインを頂戴していましたが、丹後の水害によって頂いたサインは流されたと聞いています。

現在、大正館の宿泊は行っていませんが、事前予約の見学のみ承っております。大正館にある貸切風呂は宿泊のお客様もご利用頂けます。

本ページにある記録の他にも、松本清張氏の当時の細かな話もございます。ご宿泊の際はスタッフにお声掛けください。

松本清張さんの『Dの複合』を読んでから当館に宿泊する聖地巡礼の旅は、また違う視点で楽しみが増えると思います。

ゑびすや京都府/京丹後市

『丹後の湯宿ゑびすや』は夕日ヶ浦木津温泉駅から徒歩5分の場所にある丹後の老舗旅館。美人の湯と評される源泉掛け流しの天然温泉、料理長自慢の手作り料理や丹後の冬の味覚『松葉蟹』など、身も心も癒す特別な時間をお楽しみ頂けます。